2017.10.20

時代のニーズに対応した改革が進む
国公立大学の「今」を知ろう!

秋は、受験生にとって志望校を固める大切な時期です。この特集では、国公立大学に焦点を当て、大学の魅力や使命、方向性について(株)ベネッセコーポレーション初等中等教育事業本部 情報企画課 課長の渡邉慧信さんにお聞きしました。ぜひ進学先選びのご参考にしてください。

大きな魅力は、「教育力の高さ」

国公立大学には多くの魅力がありますが、そのひとつとして、まず「専任教員一人当たりの学生数の少なさ」が挙げられます。数字で示すと、一人当たり、国公立9.78人、私立19.81人(※1)と、国公立と私立を比較すると倍くらいの差があり、手厚い指導が行われていることが分かります。ゼミの人数も少ないため、教員と密なやりとりも可能になり、学生の意欲も向上し、ゼミが定着している大学が多いともいわれています。

教育力や研究の質の高さも、魅力といえるでしょう。国際的にも評価が高い「世界大学ランキング」を毎年発表している英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションは、ベネッセグループの協力のもと、「THE世界大学ランキング 日本版2017」(※2)を発表しましたが、そこには興味深いデータが出ています。ランキングの指標のひとつ「教育リソース」は「どれだけ充実した教育環境が整っているか」を示すもので、「学生一人当たりの資金・教員数」「教員一人当たりの論文数・被引用回数」「大学合格者の学力」などを元に算出されていますが、上位50校のうち、国公立大学が38校も入っていました。同ランキングの「教育成果」という指標では、「企業人事の評判調査」「研究者の評判調査」を元に「どれだけ卒業生が活躍しているか」を算出していますが、ここでも上位50校中の33校は、国公立大学になっています。

また、国公立大学の大学院への進学率は、国公立29、私立6%(※3)というデータもあります。進学率の高さは、大学院の設備の良さや研究がしっかりできる環境が整っていることを表しているともいえるでしょう。

もちろん、皆さまもご存知の通り、国公立大学の学費の安さも、大きな魅力です。

地域のコアとなる人材育成も目指して

近年、地方創生の動きが活性化していますが、それは国公立大学にも求められており、学部名に「地域」などがついた地方創生貢献に対応した学部が次々と生まれています。国公立大学は、地域のコアになる人材を育成することも大きな役割です。大学で学びながら地域と連携して、自然災害、人口減少、地域社会の衰退などの課題解決に挑戦していくのは、地方国公立大学ならではの学びといえるでしょう。

実際に、大学では、幅広い教養と高い専門知識を身につけながら、積極的に地域に飛び出していくフィールドワークなどの課題解決型学習などが行われています。たとえ大学が出身都道府県でなくても、その地域の課題が見えてくるのは貴重な経験だと思います。このような文理融合の総合的な学問に取り組む動きは、着実に進んでいます。

大学が求める学生像に適合するかを見極める

20174月から、文部科学省は、すべての大学に対して、「入学者受け入れの方針(アドミッション・ポリシー)」、「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」、「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」という「3つのポリシー」の策定と公開を義務付けました。これによって、大学がどんな学生を求めているか、どんな教育を目指しているのかが分かるようになりました。特に受験生が知っておきたいのは、志望校のアドミッション・ポリシーですね。

国公立大学でもこの改革が進んでいて、アドミッション・ポリシーが明確になりつつあり、発信力も高まっています。推薦入試やAO入試も大学が求める学生像を明確にした上で、受験生がそこにマッチするかを見ています。AO入試にチャレンジする学生は、一般入試を受ける学生よりも、アドミッション・ポリシーを把握し、自分に合っているのかをよく考えるようにしましょう。

現在、(社)国立大学協会では、国立大学のAO入試の定員数を大幅に引き上げようとしています。入試改革によって多様な価値観を持つ人材を集めて、地域の中核となる人材と最新研究におけるスペシャリスト・世界に通用するグローバルリーダーの育成を目指しています。

その他の新たな動向としては、AI(人工知能)なども学べる情報系学部の新設も増えています。国公立大学は、時代のニーズを捉えながら、常に新しいことにチャレンジできる大学に進化していると思います。

※1 学校基本調査速報値平成29年より算出
※2 「THE世界大学ランキング 日本版2017」https://japanuniversityrankings.jp/
※3 学校基本調査速報値平成29年より算出

国公立大学の学費はいくら?

入学金と授業料を合わせた初年度納付金は、国公立大大学と私立大学で違いがあります。
国立大学は、法人化後、文部科学省で定める「標準額」を踏まえつつ大学独自で定めることが可能となりましたが、一部をのぞいて、「標準額」となっています。(※上限は標準額の120%)

国立大学

授業料 535,800
入学料 282,000

公立大学

授業料 537,857
入学料 397,721

私立大学

授業料 868,447円
入学料 256,069円

出典/文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」(平成27年度の金額)
※国立大学の金額は、文部科学省が定める標準額
※公立大学・私立大学の金額は平均であり、公立大学の入学料は地域外からの入学者の平均