2018.04.05

国際貢献、世界が身近に<by学生スタッフ>

ボツワナ代表チームと対戦後に記念撮影した中京大メンバー=ボツワナのハボローネで

大学生らが企画し、取材から原稿の執筆にまで挑む「by学生スタッフ」を始めます。初回は、アフリカのボツワナでソフトボール指導のボランティアをした中京大(名古屋市)の女子ソフトボール部員を取材。異郷の地で何を感じたのか。今春から大学1年生になる学生スタッフが迫りました。

 中京大女子ソフトボール部は、昨年のインカレでベスト4にもなった強豪。国際協力機構(JICA)の大学と連携したアフリカでのスポーツ支援事業として初めて、部員18人が2月の1カ月間派遣された。活動は今年から3年。

 「予防接種は20本打った。事前研修で怖い体験談も聞き、家族にも心配され、何が起こるか分からないからと遺書を書いた友人もいた」。そう振り返ったのは主将の4年高山美蓉子さん(21)。二瓶雄樹部長・監督(37)は「大学界を代表するチームを志してきた。競技力の向上だけでなく、国際貢献にも携わってほしい」と参加を決めたそうだ。

 ボツワナは、南アフリカ共和国の北に位置する内陸国。アフリカでは比較的豊かで、治安も良く、英語も通じる。ソフトボールは国技で、野球より人気だ。

 グラウンドの多くは草が生い茂り、部員らは草抜きから始めた。指導したのは、小学生から大人まで680人。体の動きは教えやすいが、相手の心を読んだプレーなどは言葉の壁もあり、指導しにくかった。それでも懸命に学ぼうとしてくれ「教えたことが伝わった時はうれしかった」。

 印象に残ったのは、選手同士で道具を貸し借りしながらボールを投げ、打っては喜ぶ姿。「初心を思い出せたし、規律を守り、思いやりを持って一丸となる日本人の良さも分かった」。東京五輪を目指すボツワナ代表チームと対戦も。中京大が圧勝したが「こうした交流で少しでも、五輪出場に貢献できればうれしい」と二瓶監督は目を細めた。

 オフの日に街に出ると、常に笑顔で話し掛けられた。高山さんは「黒人の方は怖いと思っていたけれど、イメージが百八十度変わった。食べ物もおいしくコミュニケーションも取れ、遠くて広いと思っていた世界が身近になった」。一方、外出は3人以上で午後7時までと決めた。「何か事件が起きるとJICAやボツワナのイメージも悪くなる。大学、日本の代表として責任感を持って行動した」

今回の経験を通じて4年の阿部瑚那美さん(21)は「いかに日本が恵まれているかを知った。初めての海外で、良いところも悪いところも日本との違いも感じ、自信にもなった。海外に行く学生は、現地で楽しいこと、学ぶべきことを見つけて」と助言をくれた。

 (中京大1年・安田悠里子、大阪大1年・吉岡美咲、愛知県立大1年・坪井佑介)

中京大ソフトボール部員の(左から)阿部さん、二瓶監督、高山さんに話を聞く学生スタッフの(同)吉岡さん、安田さん、坪井さん=名古屋市昭和区の中京大で

◆何ができるか考える 大阪大1年・吉岡美咲

 自分のできるちょっとしたことは、相手の求めていることかもしれません。「国際貢献」と聞くとどこか縁遠く感じがちですが、得意なことや趣味などでも国際貢献は可能で、世界を身近に感じるチャンスになると取材を通して感じました。

 印象的だったのは、部員の皆さんがボランティア指導をしながら、現地の人々との交流や滞在でたくさんのことを学んでいたこと。常に学ぶ姿勢を忘れず、自分も何ができるか考えていきたいです。

2018年4月1日付中日新聞朝刊