2018.05.10

短大、実は懐が深い<by学生スタッフ>

岡崎女子短大の林学長(左から2人目)に取材する学生スタッフの(右から)平野さん、榊原さん、清水さん=愛知県岡崎市で

短期大学(短大)の数が減り続けている。進学を希望すると難色を示す高校もある。「世間は四大より下に見ているみたい。短大にはいっぱい良いところがある!」。魅力を体感している現役短大生の学生スタッフが、四大生スタッフと一緒に、その歴史や現状を探った。

 短大が生まれたのは、終戦間もない1950年。経済的余裕や時間がない生徒のために短期大学制度ができた。当初は男子学生が6割だったが、徐々に女子学生が増加。女性が四年制大に進んでも仕事が限られ、社会に受け入れる素地がなかった時代。学費も安く多くの女性が短大を志した。

 短大は、修業年限が2年か3年で、保育士や栄養士の資格など社会に出るための職業教育と教養を身に付けられるのが特徴。40人ほどの少人数クラスで担任制がある学校も多い。2005年には「短期大学士」の学位授与機関になった。

 岐阜市立女子短大で栄養士を目指す2年の女子学生(19)は「必修科目も多く、毎日夕方まで講義があり、アルバイトやサークル、自動車学校の両立が難しい。早めに進路を決めなければならないのも大変」と語る。

 だが、同2年酒井里佳子さん(19)は「二年間だからこそ計画を立てやすく、少人数制でしっかり学べる」。卒業後に四年制大に編入する人も。上智大短期大学部(神奈川県秦野市)の2年壁谷優芽(ゆめ)さん(20)は「就職と編入学のどちらも可能で進路選択の幅を広げられるのがいい」と話す。

 共学化した短大も。名古屋柳城短大(名古屋市)の保育科1年松田インマヌエルさん(18)は数少ない男子学生。「児童養護施設で働きたいという夢があり、まず幼稚園の先生になる資格を取りたくて入った。同級生は四大に進む人も多かったが、自分は最終目標への近道を選んだ」

 さまざまな良さがある短大だが、志願者数は減り、学生数は1990年代半ばのピーク時の4分の1ほどに、学校数も、四年制大に変わったり統廃合されたりして約6割に減っている。背景には、女性のライフスタイルの変化に伴い、四年制大を志す女性が増えたことや、学生数の減少による経営難などがある。昨年は青山学院女子短大(東京都渋谷区)が来年度以降の学生の募集停止を発表。南山大短期大学部(名古屋市)も昨年度から募集を停止した。  

 

危機感を抱き特色づくりで生き残りを探る短大は多い。岡崎女子短大(愛知県岡崎市)はデンマーク語で居心地のいいという意味の「hygge(ヒュゲ)」をテーマに、「子ども好適空間研究拠点整備事業」を始めた。「大人視点ではなく、子どもにとって過ごしやすい空間を研究し、その成果を地域のこども園、幼稚園、保育所などに還元したい」と林陽子学長(71)。昨年度、東海・北陸地方の短大で唯一、国が特色ある研究をする大学を支援する「私立大学研究ブランディング事業」に選ばれた。

 今、短大の強みは何か。日本私立短期大学協会副会長で、名古屋文理大短期大学部理事長の滝川嘉彦さん(57)は、職業教育を重視する専門学校に比べ、教養科目が充実している点を強調する。

 「教養教育で、時代が変わっても対応できる汎用(はんよう)力を身に付けられる。土地に根ざした教育や就職など地域との関係も強い。短大は高等教育のファーストステージ。自身を見つめ直し学びの動機を再確認できる場所です」と話してくれた。

 (岐阜市立女子短大二年・清水里奈、上智大短期大学部二年・平野朝陽、南山大二年・榊原悠太)

◆将来の道探せる 上智大短大2年・平野朝陽

 高3の時、先生に反対されながら短大に進学した。さまざまな教養科目と細やかな指導のおかげで本当に学びたい分野を見つけ、今は編入学を志す。たかが2年、されど2年。短大を将来のヒントを見つける有意義な場と捉えてほしい。

◆短期間で社会へ 岐女短大2年・清水里奈

 私の将来の目標は早く結婚し、育児と仕事を両立させること。短期間で栄養士の資格を得て社会に出たくて、学費も安い公立短大を選んだ。忙しくも充実した日々を送っている。今回取材してみて、改めて選んで良かったと思った。

2018年5月6日付 中日新聞朝刊