2020.04.24

手賀沼公園の公衆トイレ
すてきに改修
中学生提案、東京芸大デザイン

童話に出てくるような外観のトイレ前でテープカットをする関係者=いずれも我孫子市で

 我孫子市の手賀沼公園にある公衆トイレが、おしゃれにリニューアルされた。「雰囲気が暗い。入りやすくしてほしい」との市民要望を受け、市が東京芸術大学に外観と内装のデザインを依頼し、約五百万円で改修を進めていた。

 一昨年十一月の子ども議会で、質問に立った当時の中学二年生から「明るい雰囲気のトイレにするべきだ」と指摘されたことがきっかけ。トイレが作られて半世紀近くたっているため、市は昨秋から、「手賀沼公園素敵(すてき)なトイレデザイン改修事業」に乗り出した。

 新装されたトイレは、赤い屋根と、木枠の窓があり、欧州の童話に登場する民家のような外観。地域や企業など学外との連携に取り組む同大教員有志のグループ「デザインガレージ」の責任者を務める山崎宣由准教授(50)は「温かなイメージで、人が集まってくるように仕上げた」と話す。

 内部の壁面には個室ごとに手賀沼をはじめとする風景イラストがあしらわれ、鳥のオブジェがあちこちに飾られている。絵の主役もオオバン、カモ、ハクチョウといった水鳥たちだ。「市内で実際に見られる鳥を描いた。公園の鳥も飛び込んでくる感じに」と、イラストを担当した非常勤講師の丸山素直さん(36)。

 山崎さんは隣の柏市生まれ、丸山さんは、母方の祖父母が我孫子市に住んでいたため、同公園への思い入れは深い。丸山さんは打ち明ける。「幼いころからよく遊びに来ていた場所。トイレの生まれ変わりに協力できてうれしい」

 現地で三月二十六日に開かれた完成式では、今月から高校に進学し、子ども議会に参加した我孫子中OGの柏木周(あまね)さん(15)、白山中OBの森琥太郎(こたろう)さん(15)が、星野順一郎市長らとテープカットに臨んだ。森さんは「小さな子からお年寄りまで、多くの人が親しめるトイレ。私たちの提案を実現するため、多くの人が協力してくれたことに感謝します」とあいさつした。

2020年4月24日付 東京新聞