2025.07.17

参院選2025 香る
語らう
「選挙カフェ」 二度おいしい?
法大生の試み 若者投票率アップへ
情報を気軽に

20日投開票の参院選に合わせ、法政大の学生たちが、コーヒーを振る舞いながら各党の参院選公約や争点を語り合う「選挙カフェ」を試みている。選挙に関心はあるものの政治的な話題を避けがちな若者に、投票を呼びかける狙い。学内で3回実施し、18日には岡山県高梁市の吉備国際大キャンパスに出張する。(押川恵理子)
 9日午後、多摩キャンパス(東京都町田市)の校舎内に「フリーコーヒー」ののぼりがはためいた。学生が気軽に立ち寄りやすいよう、「選挙カフェ」の看板はあえて用意しなかった。

 「何やっているんですか」「コーヒー飲みたいな」と、のぼりを目にした学生たちが続々と集まってきた。客側の学生には、飲みたいコーヒー豆の種類をまず選んでもらう。

 豆の名前は、物価上昇のインフレと苦いエスプレッソを組み合わせた「インフレッソ」や、将来の支給が気になる年金問題と、熟成されたグアテマラ産豆の風味を掛けた「年金ロースト」など。コーヒーをきっかけに集まった学生らは主要政党の物価高対策の違いなどを話し合っていた。

 若い世代の投票率は低い傾向にあり、総務省によると昨年秋の衆院選の投票率は全体の53・85%に対し、20代は34・62%、10代は39・43%にとどまった。

 そんな現状を受け、メディア社会学科の藤代裕之教授の研究室で学ぶ3、4年生が企画した。

 のぼりなどを手掛けた高津こころさん(20)=3年=は「大学生は選挙に興味がないというイメージが定着していて普段は政治の話題を出そうと思わない」と話し、立ち寄りやすい雰囲気づくりに気を配った。

 小林里菜さん(20)=同=も「選挙期間中ということも知らない学生が結構いる中で、投票に役立つ情報を自然と伝えられるように工夫した」と、豆の名前や公約比較のボードに趣向を凝らした。

 企画の準備段階で課題も感じたという。主要政党の公約を調べた中島萌香さん(20)=同=は「検索エンジンを使って各党の公約を調べる際に思ったより手間取った」と振り返る。

 6月に発表された総務省の調査では「いち早く世の中の出来事を知るため」のメディアとして、20代の81・2%、10代の75・7%がインターネットを挙げたが、情報があふれるネット上で公約や政党・候補者を比較できる情報にたどり着きづらかったという。

 藤代教授は「学生たちはSNSの情報過多の中で有益な情報にたどり着けずに困っている。選挙に関心はあるものの、投票行動に結び付きづらい。今回はフリーコーヒーを活用したが、選挙への関心を高め、情報不足を解消する仕組みが重要だろう」と話した。

2025年7月17日 東京新聞 朝刊 社会面
https://www.tokyo-np.co.jp/article/421423