2020.04.17

大学も地域も発展させたい
東海国立大学機構発足

東海国立大学機構が発足し、除幕式で拍手する機構長の松尾・名古屋大学長(左)と副機構長の森脇久隆・岐阜大学長=名古屋市千種区の名古屋大で

名古屋大と岐阜大の運営法人統合で、一日に発足した「東海国立大学機構」。名古屋市千種区の名大キャンパスで記者会見に臨んだ初代機構長の松尾清一・名大学長は「統合を機に、大学自体も地域も発展させたい」と抱負を語った。

 「東海機構の岐阜大、名古屋大として、新たな歴史を歩むことになります」。就任あいさつの冒頭、松尾学長は東海機構のイメージカラーの青いネクタイ姿で晴れやかに宣言した。

 一法人複数大学制度によって国内で初めて、運営法人を統合した名大と岐大。背景には、少子化や国からの運営費交付金の減少などで大学を取り巻く状況が厳しくなる中、さらなる発展を目指した両大の思惑があった。

 協議が始まったのは、三年前。国内屈指の研究力を誇りながら、旧帝国大の中では予算規模が小さかった名大は、大学間連携を深め、国から集中支援を受けられる指定国立大に選ばれることを狙った。

 一方の岐阜大は、この十年で志願者数が六割弱に。統合による研究・教育力の向上で、他の地方大にはない魅力を高め、地域貢献していく道を志した。国立大の再編に積極的な国も改革経費として二十億円強を両大に投入するなど支援し、とんとん拍子で発足を迎えた。

 機構の本部は名大内に置き、両大にいた事務職員計九百十人のうち、名大から二百五十七人、岐大から二十六人を機構事務局に配属。この一年ほどで経理や人事システムを含め、事務の効率化を図ってきた。

 力を入れるのは、教育や研究力の強化だ。「ものづくりで日本を支える東海地域にふさわしい法人にしたい。人づくりが一番大事」と松尾学長。両大の教養教育などを「アカデミック・セントラル」に一元化し、電子教材の共有や単位互換も進めて充実させるほか、糖鎖研究、航空宇宙産業、農学連携、医療研究の四分野で、機構直轄の研究拠点を設けた。

 今後の他大学との統合については「東海機構は、広い地方で国立大が連携できる機構になりたい。今回の統合は第一弾。両大学がどう良くなっていくか。情報発信し、考えに合意できれば入ってもらえたら」と期待した。

2020年4月2日付 中日新聞