2023.07.07

「月面農場」実現目指す
千葉大が宇宙園芸研究センター

 将来、人類が月に移住する可能性を見据え、千葉大は「月面農場」の実現に向け、園芸学研究院に「宇宙園芸研究センター」(センター長・高橋秀幸同大大学院園芸学研究院特任教授)を設置した。開所式が十七日、同大松戸キャンパスであり、関係者が今後の成果に期待を寄せた。

 宇宙での食料生産に向けた基盤研究を進め、人材を育成するのが目的。園芸学、工学などの研究基盤を生かし、宇宙園芸学の国際研究拠点とするため今年一月に設置した。

 宇宙園芸育種、高効率生産技術、ゼロエミッション技術の三つの研究部門がある。
 それぞれ、宇宙で生育する有用品種、低重力・低圧環境下での効率的な生産技術、資源循環システム、といった開発に取り組む。
 開所式で中山俊憲学長が「人類の宇宙居住の基盤を構築するだけでなく、地球上の食料、環境、生活に関わる未来創成に貢献したい」と述べた。

 来賓の白川正輝・JAXA有人宇宙技術部門きぼう利用センター長は「宇宙実験で生物や植物が本来持っているメカニズムを解明する上で意義深い」と強調した。

 この後のシンポジウムで高橋センター長が「宇宙専用の新たな園芸作物を作り、超高効率な生産技術で栽培して物質循環系の完成を目指す」と表明、「長期宇宙滞在を実現する食料生産システムの研究開発、地球におけるQOL(生活の質)向上のための人材育成に貢献できると確信している」と力を込めた。(林容史)

2023年5月25日 東京新聞朝刊千葉版

https://www.tokyo-np.co.jp/article/252264