2024.02.27

「幸せをお菓子で」フランス伝統「ガレット・デ・ロワ」のコンテスト入賞
聖徳大短期大学部の2人
安武さん2位、永井さん3位

 フランスの伝統的な菓子「ガレット・デ・ロワ」の出来栄えを競うコンテスト(クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ主催)のエスポワール部門(アマチュア・学生部門)で、聖徳大短期大学部総合文化学科2年の安武明日香さん(19)が2位、永井佳弥乃(かやの)さん(20)が3位に輝いた。21回を数える由緒ある大会で、同大初の快挙となった。(林容史)

 ガレット・デ・ロワは、幾重にも折ったパイ生地にアーモンドクリームを挟んだシンプルな焼き菓子で、表面の美しい飾り模様が特徴。フランスでは、キリスト教の新年の祝日「エピファニー(公現祭)」に食べる。

 伝統菓子の魅力や文化を次代に伝えるためのコンテスト。プロの技を見せる一般部門、アレンジを競うヌーベル部門もある。同大の学生は、製菓の専門学校生らパティシエの卵たちに交じり、2021年から出場している。

 フードマネジメントコースで学ぶ安武さんと永井さんは、卒業論文の代わりとして取り組み、昨年5月からガレット・デ・ロワの研究に励んだ。

 安武さんは、生地づくりで「なかなか平らに仕上がらず、ぼこぼこしてしまった」と試行錯誤を繰り返し、永井さんは「ナイフの持ち方一つで模様の線の太さが変わってしまう」と練習を重ねた。

 9月に難関の書類審査をパスし、11月の最終審査へ。大学の実習室で焼き上げた菓子を約1時間半かけ、会場のシェラトン都ホテル東京(東京都港区)まで電車で運んだ。焼き加減、パイ生地の出来栄え、アーモンドクリームの味などが、シェフたちに厳しく審査された。

 初入賞に安武さんは「お菓子づくりの経験がないのに、驚いた。模様にも意味があることを知り、歴史を学べた」、永井さんは「アーモンドクリームの味が評価されたのかな。普段、お目にかかれないお菓子づくりに挑戦できてよかった」と笑顔を見せた。

 ゼミで2人を指導した山崎正也総合文化学科長は「料理以外の勉強も続けながらコンテストで入賞できた意義は大きい。会場に驚きの声が上がっていた」と喜ぶ。

 「お菓子で幸せを届けたい」と願う2人は今年1月10日、仏大使館(東京都港区)で表彰式に臨み、プロがつくったガレット・デ・ロワを味わい、フィリップ・セトン大使からも祝福された。安武さんは助手として同大に残って勉強を続け、永井さんは東京スカイツリーにも出店するタルト専門店でパティシエとしての一歩を踏み出す。

2024年2月21日 東京新聞朝刊千葉版

https://www.tokyo-np.co.jp/article/310527