2024.09.09

相模女子大と清川村がタッグ 若い感性
特産茶復活目指す

◆地域振興へスイーツ、土産品開発

 清川村の特産品で、生産継続に厳しさが募るお茶の復活に、相模女子大(相模原市南区)の学生が立ち上がった。年間約11万人の観光客らが買い物をする「道の駅」に若い感性で開発したお茶のスイーツと土産品を並べ、交流サイト(SNS)を活用した宣伝も担う計画だ。日本人のお茶離れで就労人口が減る村の茶業をよみがえらせようと意欲たっぷりで、地元も期待を膨らませている。(古川雅和)

 山に囲まれた村役場に今月7日、カラフルなファッションに身を包んだ学生が集まった。お茶の生産者や道の駅の運営者らの話を聞くまなざしは真剣そのもの。道の駅が混む時間帯や客層、利益の出し方、商品に表示が必要なアレルギー情報など、実際に商品を販売するために必要な基礎知識をメモしていた。

 その後は早速、レストランのデザートメニューと土産品の開発チームに分かれ、それぞれのアイデアを披露。「ジェラートに緑茶のチュロスを刺したらどうかな」「懐かしいと思われるようなものがいいんじゃない」「ご飯に合うものってどう?」。栄養学やマネジメント、心理学など、異なる学科の学生らの意見交換は、村の担当者が止めるまで終わらなかった。

 相模女子大と清川村が特産品開発プロジェクトを始めたのは2018年から。村には地域産業の活性化や若者の来村増加につなげる狙いがあり、相模女子大は学生の社会貢献や社会の仕組みを実体験する場に位置付けている。

 18、19年に宮ケ瀬湖畔のクリスマスイベントでは、お茶ラテと地場産ソーセージを使ったホットドッグが大人気に。22年は村内五つの飲食店でお茶を使ったパスタやチーズケーキを出した。

 本年度は、よりお茶の商品が人の目に触れるようにと、村が道の駅で提供する飲食品や土産品の開発を依頼。新たなメンバーとなった学生は、夏休みの間も村を訪れ、試作を繰り返す。

 試作品は道の駅が実際に販売できるか判断し、調理スペースや手間、利益に見合わなければ正式に商品化されない厳しいプロジェクトだ。それを乗り越えた商品だけが10月に試験販売され、11月からSNSで広く発信できるようになる。

 道の駅の名物商品として定着する可能性もあり、秋月香梅さん(18)は「このプロジェクトがあったから、相模女子大に入学した。映えるもの、どの世代でも人気が出るものをつくりたい」と意気込む。高橋琴さん(19)は「主婦層を狙って、家で開けてすぐに食べられるものができたらいい」と笑顔を見せた。

2024年8月17日 東京新聞朝刊・横神版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/348016