2025.02.12
気候変動
考える場に 「かながわユース気候会議」運営
横浜市立大1年
須賀遥翔(すが・はるか)さん(19)
県内在住、在勤、在学の35歳以下の若者が地元でできる気候変動対策を考える「かながわユース気候会議」の運営メンバーの1人として、企画に携わった。会議は昨年12月7、8の両日に横浜市で開かれ、50人の参加者が再生可能エネルギーの普及と建築物の気候変動対策に焦点を当てて議論。専門家の助言も得て、新築住宅の太陽光パネル設置標準化や太陽光発電導入目標の拡大など県に対する八つの提言と、自分たちが取り組む六つのアクションプランをまとめた。
高校3年で耳管開放症を発症した。夏の猛暑で汗をかくと耳が聞こえにくくなるといい、「気候変動によって自分の病気が深刻になったり、他にも被害を受ける人が増えたりするかもしれないと考えたら、居ても立ってもいられなくなった」。ただ、周囲の友人らに温暖化への危機感を共有しようとしても賛同は広がらず、孤独感を抱いた。大学入学を機に、同じ危機感を持っている人に出会いたいと、同世代の若者たちが気候変動の啓発活動を行っている東京の団体に入った。
団体で活動する中、昨年5月にかながわユース気候会議を主催した市民団体「かながわ脱炭素市民フォーラム」のメンバーと知り合い、請われて入会した。県内には、農業と太陽光発電を組み合わせたソーラーシェアリングに取り組む若者や、環境問題で政府や県に働きかけをしている同世代がいると分かった。「そうした人たちをつないで一堂に会せる場を作れば、1人では思い付かない豊かな発想が生み出せるのではないか」。そう思い、会員の大学生らとともにユース気候会議の企画に乗り出した。
2日間のユース気候会議では、志を同じくする大勢の仲間と議論し、交流できた。「各方面で頑張っている若者がこんなにいるんだと刺激を受け、希望を感じた。参加者それぞれが活動をこれからも続けていくためのエネルギーをチャージできる場になっていたら、それだけで開催の意義はあったと思う」と胸を張る。
参加者がまとめたアクションプランには、住宅の断熱対策の普及・啓発や太陽光発電の拡大に向けたシンポジウムの開催、ソーラーシェアリングの実践者育成のためのコミュニティー形成などがある。今後、できるところから実現していきたいという。
一方、大学生や社会人には気候変動の問題に関心はあっても「活動できるほどの余力がない人がすごく多い」と感じる。だからこそ、どこでも再生可能エネルギーの電気が使われていたり、消費者側のごみを生み出さないよう企業が物の製造段階から工夫したりするなど、「どんな人でも、意識しなくても気候変動対策に貢献できる社会の変革に携わりたい」と語る。
大学ではまちづくりを学ぶ。「環境と地方創生を掛け合わせたまちづくりができないか考えている」と将来の展望を描いている。(曽田晋太郎)
◆かながわユース気候会議
脱炭素社会の実現を目指して県内で啓発活動を行う市民団体「かながわ脱炭素市民フォーラム」のメンバーのうち、大学生ら若手でつくる「ユース部」が主体となって初めて企画した。開催後、環境相に成果を報告したほか、まとめた八つの提言については今後、県に提出する計画。
2025年1月20日 東京新聞朝刊横神版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/380336