2025.03.14
選ぶちば2025 淑徳大・矢尾板教授が県民意識調査 現県政・千葉市政
評価する「5割超」 物価対策など課題
就職、進学…家計補助求める声
16日投開票の知事選と千葉市長選を前に、淑徳大の矢尾板俊平教授(総合政策論)が県民に意識調査を実施した。多くの項目で県、市いずれも現職の政策を評価する回答が5割を超えた。一方、市の物価対策を評価する割合は3割台にとどまり、生活状況の厳しさを反映した結果が出た。(選挙取材班)
矢尾板研究室の委託を受けた調査会社が2月にウェブアンケートを実施し、県内在住の8491人が回答した。そのうち千葉市在住は3900人。住み心地や幸福度のほか、県政・市政への評価や求める政策などを質問した。
県政では、京葉線ダイヤ改正問題、宿泊税導入、企業誘致の取り組みなど計13問を尋ねた。各質問で「評価する」「どちらかと言えば評価する」の合計が50%を超えた。宿泊税の導入は、評価する回答が計53%に対し、「評価しない」と「どちらかと言えば評価しない」は計46・9%だった。
市政では、市立海浜病院の移転新築など計20問を聞いた。保育園の5年連続待機児童ゼロを市民の回答者のうち計78・2%が評価した。一方、市の物価対策を評価する回答は計35・6%で、評価しない(計64・3%)が大きく上回った。
矢尾板教授は「現職の取り組みが評価される一方、生活の大変さが結果に表れている」と指摘。県内は住みやすいと感じている人が84・8%に上る一方、この4年間で生活が良くなったと感じている人は33・3%にとどまり、ギャップも浮き彫りになった。
矢尾板教授は8日、淑徳大千葉キャンパス(千葉市)であった、市在住・在学の高校生と大学生でつくる「こども・若者市役所」の会議で調査結果を紹介した。
若者らが特に注目したのは、物価対策だった。物価高に賃上げが追いついていない現状から、実家を出て1人暮らしできるのか不安がる声も。「就職後の数年間でいいから、住宅補助を出してほしい」などと求める意見が出た。
千葉市稲毛区の高校3年生、青山琴音さん(18)は、知事選と市長選について「物価対策を重視して投票する」と話す。4月にIT系の学校への進学を控え、機材の購入費などが必要。食費や燃料費の値上がりが続き、家計を気にしている。「水道光熱費やガソリン代の補助があるとだいぶ楽になる。初めての選挙なので政策を見比べたい」
矢尾板教授は、調査結果を投票に役立ててほしいと願う。近年、一部の有権者は交流サイト(SNS)の盛り上がりに影響されて投票先を決める傾向があるとし、民主主義の危機を感じているからだ。「エビデンスを踏まえ、現職の実績を見極めることで根拠ある投票をしてほしい」と話している。
2025年3月14日 東京新聞 朝刊 千葉版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/391680