2025.05.08

「健康な高齢化」へ知識集約 政策研究、人材育成、普及啓発で連携 WHO協力センター指定
県立保健福祉大大学院 「未病改善」の推進も

県立保健福祉大大学院ヘルスイノベーション研究科(川崎市川崎区)が、世界保健機関(WHO)の活動を支援する協力センターに指定された。指定期間は3月26日から4年で、両者は「健康な高齢化」分野の政策研究、人材育成、普及啓発に連携して取り組む。(曽田晋太郎)
 具体的な連携内容は、高齢者に優しい地域づくりをはじめとした政策研究・学術論文の作成▽セミナー開催や起業家精神を養う教育の実践などにより、世界で活躍するリーダーの育成▽県内での取り組み成果の国際的な共有-など。

 同研究科は、最先端医療や最新技術の追求、病気になる前から対策する「未病改善」の推進を担う高度な専門人材を育成する目的で2019年に開設された。当初から協力センターの指定を目指してWHO側と協議し、昨年12月に指定の申請書を提出していた。協力センターはWHO事務局長が指定し、県などによると、4月8日現在で指定されているのは世界94カ国の797機関で、うち国内は同研究科を含めて33機関。

 指定を受け、県と同大が記者会見し、未病改善を提唱する黒岩祐治知事は「これまでWHOと県は覚書を結んで未病の取り組みを進めてきたが、今回の指定でWHOの中で未病コンセプトという新しい健康概念が正式にスタートした」と強調。同大の鄭雄一・副学長兼ヘルスイノベーション研究科長は「WHOとつながることで、健康な高齢化や未病に関する最先端の知識を集約、分析していくことに有利になるほか、われわれの取り組みが世界に発信される」と指定のメリットを説明し、「政策提案として県民にも成果を届けたい」と話した。

2025年5月8日 東京新聞 朝刊 神奈川版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/403385