2025.10.29
手話ダンス
心つなぐ場に 昭和音大生がコンサートを企画 川崎・新百合で来月22日
「みんなが感動できる舞台に」
昭和音楽大(川崎市麻生区)の学生たちが11月22日、手話や踊りで歌詞に込められたメッセージを伝える「手話ダンス」のチームを招き、同大教員による特別編成のバンドと共演するコンサートを開く。「耳の聞こえない人も聞こえる人も、ともに感動できる舞台にしたい」と来場を呼びかけている。(佐藤圭)
手話ダンスのコンサートを企画立案したのは、同大アートマネジメントコース3年の西口和花さん(20)。舞台芸術のプロデューサーを育成する同コースでは毎年、3年生の実習科目「企画制作演習」の一環で、学生たちが実際に公演を手がける。
西口さんが2年のときに教員から紹介されたのが、ストリートダンスに手話表現を取り入れた独自の「UD(ユニバーサルデザイン)ダンス」を提唱する北村仁さん(43)だった。平塚市で生まれ育った北村さんは、手話ダンススクールや手話カフェを同市内で運営する。
ユーチューブで見たUDダンスは「手話に触れる機会がなかった私でも感動した」。さらにその後、障がい児教育論の授業で、聴覚障がいや自閉症などを理由に、ホールでの音楽鑑賞に不満や不安を覚える人たちがいることを知った。「障がい者がコンサートに行くことが難しいという現実に衝撃を受けた。障がい者が楽しめる空間をつくりたいと思った」と振り返る。
同コースの3年生11人は担当教員を前に、企画案をプレゼンテーション形式で発表。西口さんの「手話ダンス」案は、今年6月の最終選考で採用された2案のうちの一つに決まった。西口さんが早速、北村さんに出演を依頼すると、「数あるエンタメの中で、私たちに共感してくれてうれしい」と快諾を得た。
今回出演するのは、北村さんと「UD DANCERS JAPAN」のメンバー6人で、うち2人がろう者・難聴者だ。今回限りのバンド「Showa Dream Band」は、同大のポップ&ロックミュージックコースとジャズコースの教員6人で編成する。
開催日を選定する際は、聴覚に障がいのあるアスリートが競う国際的な総合スポーツ大会「東京2025デフリンピック」(11月15~26日)を意識した。「『デフスポーツの魅力や価値を伝え人々や社会とつなぐ』という大会ビジョンは、私たちの公演と深く響き合う」と西口さん。北村さんは「コンサートやデフリンピックをきっかけに、手話が文化として定着するようになれば」と願う。
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コンサート「つなぐ~音楽と手話ダンスが心を結ぶ~」は午後5時、小田急線新百合ケ丘駅北口近くの昭和音大北校舎スタジオ・リリエで開演。全席指定で一般1500円、4歳~大学生千円。聴覚支援システム「ヒアリングループ」や手話通訳・字幕あり。問い合わせはアートマネジメントコース企画制作室=電044(959)5121=へ。
2025年10月29日 東京新聞朝刊 神奈川版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/445599