2020.04.17
全奨学生に15万円給付
あしなが育英会
寄付募り生活援助
病気や災害で親を亡くした子どもの進学を支援する「あしなが育英会」(東京)は十六日、都内で記者会見し、奨学金交付対象の高校生や大学生ら計約六千五百人全員に、生活支援金として十五万円を給付すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で保護者が仕事を失うなどして「食費がない」「路上生活するしかない」との声が多く届いたためとしている。
全奨学生に生活支援金を出すのは一九九三年の発足以来初めて。総額は約十億円で、奨学金を安定的に交付する積立金を取り崩す。感染拡大で、今春は街頭での募金活動を実施できず、育英会はホームページ上で寄付を呼び掛けている。
育英会は今月一~十日にかけて、高校三年の奨学生がいる五百五十三世帯にアンケートした。福島県の保護者は「仕事ができず収入が減り、家族全員で路上生活するしかない」と記入。福井県の保護者は「子どもがずっと家にいて食費も光熱費もかかる。食費が高いことを口にしてしまい、子どもから『一日二食でも構わない』と返事がきた」と窮状を訴えた。
岡崎祐吉事務局長は会見で「奨学生がいる世帯の保護者の多くは非正規雇用で、真っ先に仕事がなくなる。感染がどうなるのか先行きが見えない中だが、まず生活を保ってほしいという思いで給付を決めた」と話した。
2020年4月17日付 東京新聞 夕刊