2023.07.26
お弁当で健やかに
女子栄養大・坂戸キャンパスの学生考案
◆思いやり伝わる味に 戸田市内で販売
健康づくりに関心がない人も、お弁当を食べて健やかになってほしい－。女子栄養大・坂戸キャンパス（坂戸市）で学ぶ学生が健康に配慮した弁当を考案し、今週から戸田市内で販売が始まった。唐揚げやハンバーグなど親しみのあるメニューに、野菜も食べてほしいとの学生の思いが伝わるようなアイデアが凝らされている。（出田阿生）
同大と戸田市は、食生活改善を目的にした包括連携協定を今春締結し、その一環で実施された。食生態学研究室の学生四人が一人につき一つの弁当を担当し、四種類が完成した。サポートした林芙美准教授は「彩りや内容を考え、手に入りやすい材料でつくった特別珍しくないメニュー。だからこそ、家でも再現しやすいのが長所です」と語る。
それぞれの主菜は▽焼き肉のたれとカレーで味付けた二種の唐揚げ▽玄米を練り込んだハンバーグ▽魚の青のりフライ▽野菜の煮込みをかけたハンバーグ。これに青菜のおひたしやピクルスなど副菜がつく。
学生の千葉由美子さん（２２）は「実際に作らないと分からないので試作を重ねた」と語る。「売り物」ならではの悩みも。石井あかねさん（２２）は「物価高騰の折、材料費との兼ね合いを考える必要に気付いた」。松尾真子さん（２１）も「従来の唐揚げ弁当とかぶらないよう、味つけで工夫」。鈴木向日葵（ひまり）さん（２２）は「お店の人の作る手間を考えた」という。
完成した弁当は二店舗で二種類ずつ取り扱う。二十日に販売を開始する「Ｋｉｔｅｙａ Ｋｉｔｃｈｅｎ（キテヤキッチン）」（戸田市新曽五）では毎週月・木（価格は税込み六百五十円）、十八日からスタートした「おむすびｃａｆｅころりん」（同市新曽三〇）では毎週火・金（価格は税込み八百三十一円と八百六十四円）、一日各十食を限定販売する。
塩分控えめでさっぱり 記者試食
魚の青のりフライ弁当を私（出田）も試食した。見た目は弁当屋によくある揚げ物のお弁当。脂っこいのかなと思ったら、塩分控えめでさっぱりしている。添付のソースで調整できるのがいい。フライの下にはパプリカのマリネ。横にはズッキーニとレンコンの素揚げが一切れずつ。ほんの少しだが、「野菜も食べてね」と気遣ってくれているようで何だかうれしい。ポテトサラダも優しい味…と思いきや、ゆず胡椒（こしょう）がピリッと舌に残る。青菜の煮浸しは出汁（だし）がきいている。
ボリューム重視ではないが、これなら高齢者でもぺろりといけそう。ひとことで言うと「誰かが自分の体を考えて作ってくれたごはん」だと感じた。
2023年7月26日 東京新聞朝刊埼玉版
