2024.06.25
渋沢栄一ゆかりの「百社一首」
埼玉工大がカードゲーム作製
創立など66社との関わりを読み札に
深谷市出身の実業家、渋沢栄一(1840~1931年)の肖像画が7月初めから新1万円札に登場するのを前に、市内の埼玉工業大は栄一が創立などに関わった66社のカードゲームを作製し、百人一首にちなんで「百社一首」と名付けた。学生たちが各社と栄一の関係をテーマにした読み札のフレーズを考案した。30日に市内各所で発売する。(菅原洋)
同大によると、栄一が関わった企業は約500社あり、このうち約180社が現存する。小島進市長が昨年6月、同大に新1万円札に向けた商品開発を依頼。同10月から、人間社会学部の本吉裕之准教授(経営企画)と研究室で当時3年の学生男女11人が、各社に連絡して66社からカードに使用する了承を得た。
カードは秩父鉄道の場合、読み札は「せいえん(青淵・栄一の雅号)を 絆(つな)ぐ秩父路 笑顔乗せ 汽車の音響く 空かなた」。取り札(絵札)にはロゴマークや社名などがある。この他に県内の関係では、りそなグループやふかや農業協同組合などがある。
外箱のデザインには、渋沢栄一記念財団(東京)などの提案を受け、栄一による筆の文字を本人の書簡から抽出して採用した。
本吉准教授は「作製に当たり、栄一翁が株式会社を日本に根付かせた功績を改めて感じた。カードの参加企業を増やし、利用して大会も開きたい」と意気込む。作製に関わった4年の黛杏奈(まゆずみあんな)さんは「読み札を作る際に企業と交渉して要望にも沿い、栄一との関わりをフレーズに絡めるのが難しかった」と苦労を語った。
カードの価格は2750円(税込み)。深谷市内の道の駅「おかべ」「はなぞの」などの各店舗で販売し、作製費を負担したたつみ印刷(同市)のホームページからも購入できる。販売による利益は同市の子ども福祉基金に寄付する。
2024年6月23日 東京新聞朝刊埼玉版