2020.04.15

群馬大×宇都宮大
全国初 共同教育学部

全国で初めて二つの大学が同じ教育学部を運営する群馬大(前橋市)と宇都宮大(宇都宮市)の「共同教育学部」が一日、誕生した。幅広い科目の提供が必要な教員養成課程で、技術家庭など専門分野の教員を補完し合い、効率化を図るのが目的。カメラ映像を使った遠隔授業システムなど情報通信技術(ICT)を導入し、学生はモニターを通して相手の大学が提供する授業を受ける。 (小川直人、市川勘太郎)

 設立の背景は、少子化時代に入り学生数が減少する中、大学単独で既存の教員数の維持が難しくなってきている状況がある。教員数が少ない専門科目を、ICTを活用して授業を行うことで、学校予算を効率的に運用しながら「教育の質」を高めるのが狙いだ。

 共同教育学部では、卒業に必要な百五十五単位のうち、三十一単位は相手大学が提供する授業を履修する。学生はこれらを遠隔授業で受けるほか、両県の宿泊施設を活用した宿泊研修などにも参加して交流を図る。

 プログラミング教育法やグローバル教育といった新時代の教育に合わせた科目も新設している。

 共同教育学部の初年度の募集定員は群馬大は百九十人、宇都宮大は百七十人。計三百六十人余りが新しいカリキュラムで学ぶことになる。

 宇都宮大の石田朋靖学長は「双方の特色を生かし、相乗効果も見込める」と効果を説明。群馬大の平塚浩士学長は「ICT技術の進化に合わせ、教材や教育方法の開発にも力を入れたい」と強調している。

 文部科学省によると、教育学部以外の共同学部は、山口大と鹿児島大の共同獣医学部がある。
2020年4月1日付 東京新聞