2023.07.14
リチウム電池
捨て方注意
城西大生が啓発動画
◆坂戸市依頼 HPで公開へ
ごみ処理施設における使用済みリチウムイオン(LI)電池の危険性を市民に知らせる啓発動画を、城西大経営学部(坂戸市)の志田崇准教授ゼミが作成した。市の依頼で取り組み、学生約四十人が参加。七月中に一般公開される予定だ。(武藤康弘)
十チームに分かれ、コンテスト形式のプレゼンが二十一日、学内で行われ、市職員四人が審査し、「大人向け」と「子ども向け」の両部門で順位付けした。最優秀の動画は市公式サイト上で公開され、子ども向けの方は市西清掃センターの施設見学者向けに公開される。
スマートフォンや電気シェーバーなどに欠かせないLI電池は、変形するほどの衝撃を外部から受けると、プラス極とマイナス極が近接してショート(短絡)を起こし、瞬間的に大きな電流が流れて発熱。発火や爆発に至ることもある。
上尾市の西貝塚環境センターの粗大ごみ処理施設で二〇二〇年十月に起きた火災事故では、粗大ごみに混入していた充電用のLI電池が衝撃を受けて発火したのが原因とみられ、損傷した施設は約九カ月にわたって稼働停止。修復・部品交換に約四億八千万円の巨費を要した。
啓発動画には、LI電池が坂戸市内の処理施設で実際に発火した事故場面の映像や、分別一覧表の画像などを市が提供し、織り込まれている。両部門で最優秀に選ばれたグループの三年佐藤琉希也(るきや)さん(21)は「わかりやすさとテンポ良さを重視し、市マスコット(さかろん)も起用して動画作りに取り組んだ。子ども向けは関心を集めやすいよう、クイズも取り入れた」と工夫を明かした。
坂戸市では使用済みLI電池について、端子部分を絶縁した上で特定回収日に出すことを求めているが、誤って「燃やさないごみ」に混入させるケースが後を絶たないという。西清掃センターの幹部職員は「週に四、五件、発煙・発火などの事故を処理施設で確認している。見逃せば、施設の火災につながるかもしれない」と危機感を募らせており、「啓発動画の公開を機に電池起因の事故をなくしたい」と力を込める。
2023年6月29日 東京新聞朝刊埼玉版