2024.01.05
千葉市の植草学園大「共生の森」
環境省「自然共生サイト」に認定
◆生物多様性など評価間 伐材も利用
千葉市若葉区の植草学園大にある「植草共生の森(ビオトープ)」が、環境省の「自然共生サイト」に10月、認定された。民間の活動により自然環境や生物多様性が保全されているエリアが対象で、大学施設の認定は全国で4カ所。植草共生の森は水辺や種類の違う林など多様性に富み、大学側は「自然観察や環境学習などさまざまな活動に活用できる場として守りたい」と話す。(小川直人)
キャンパスに隣接する約2・3ヘクタールの里山環境に整備されたビオトープで、荒れていた雑木林を2005年ごろから整備してきたという。水田のある水辺、クヌギやコナラなどの雑木林、スギ林、タケ林の各ゾーンで構成される。
植生や生きものは周辺地域の雑木林などと同じで在来種が中心。遊歩道が整えられ、野鳥の繁殖や小動物の隠れる場としてササなどの下草を残したエリアもある。自生するニホンミツバチも観察できる。
間伐材を使った積み木などの教材やグッズの制作、ホタルの生息する環境づくりといった学生の活動の場になっている。近隣の幼稚園や小学校の体験学習にも活用されている。
地域の子どもたちも参加した米作り体験やホタルの観賞会に携わった発達教育学部4年の加藤花歩さん(22)は「森の中で花や植物について多くを学んだ。教員になるので、知識や経験を子どもたちに伝えたい」と話す。
大学職員や学生、外部団体代表らで組織する森の運営部会委員長の早川雅晴教授(62)は「それぞれ干渉し合わずに活動できるだけの広さがある。10年後の学生たちも、やりたいと思ったことができるように多様な環境を維持したい」と語った。
地域に開放する「ビオトープ祭り」が12月16日に開催される。事前申し込みが必要で、概要は大学のホームページに掲載される。
問い合わせは同大総務課=電043(239)2646=へ。
【用語解説】
自然共生サイト
環境省が本年度から始めた制度。企業の森や里地里山など、民間の取り組みで生物多様性の保全が図られている区域を認定する。35都道府県で計122カ所、そのうち県内では「下田の杜(もり)」(柏市)など6カ所が認定されている。総面積は約7.7万ヘクタールで、国土の約0.2%にあたる。
2023年11月24日 東京新聞朝刊千葉版