2024.09.09

つなぐ
戦後79年 千葉経大敷地内
旧鉄道連隊の「煉瓦棟」 学び舎に残る戦跡

◆同大で企画展 模型などで解説「建物の存在知って」

 太平洋戦争中、千葉市には軍事関連施設が集まり「軍郷」と呼ばれていた。名残を今に伝えるのが、同市稲毛区の千葉経済大学敷地内にある「旧鉄道連隊材料廠煉瓦(しょうれんが)建築」(煉瓦棟)。この歴史的建造物や他の軍施設を紹介する企画展「学び舎(や)に残る歴史~煉瓦棟と千葉の戦跡~」が、同大総合図書館で開かれている。(小川直人)

 煉瓦棟は、旧陸軍鉄道第一連隊の「材料廠」として1908(明治41)年に建てられた。東西に54・4メートル、南北に12・7メートルの細長い建物で、内部に10連のアーチがある。高さ7メートル余りの天井には当時のクレーンも残される。外部から建物内にレールが伸び、アーチの下で車両の組み立てや修理が行われていたという。

 戦後は大蔵省(現財務省)に引き継がれ、国鉄がレールセンターとして活用。85年に大学側に払い下げられた。建築基準法の制限から、校舎としての利用は断念。歴史ある建物として保存し、89年に県有形文化財建造物に指定された。

 企画展は、航空写真や年表、大学模型部作成の150分の1の模型などで煉瓦棟を解説。鉄道連隊や大学周辺と近隣市の戦跡も、写真や関連書籍で紹介している。担当者は「貴重な建物の存在を知り、地域の歴史に興味を広げてもらいたい」と話す。

 先月、見学に訪れた熊谷俊人知事は「アーチを含め立派な建物だ。県として保存への助言を行いつつ、大学や千葉市とも連携して多くの人に見てもらえるよう活用策を模索できたら」と話した。

 企画展は10月31日まで。一般の観覧も可能。無料。希望があれば煉瓦棟の見学もできる。平日午前9時~午後6時(土曜は午後4時まで)。日曜休館。夏休みがあり、詳しい開館日は総合図書館のホームページで。問い合わせは総合図書館=電043(253)9941=へ。

2024年8月12日 東京新聞朝刊・千葉版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/347034